Sig’s Book Diary

関心本の収集

『黄金郷(エルドラド)伝説:スペインとイギリスの探険帝国主義 』

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/7485062601fb40c28cf06c0c21c14485
山田 篤美、2008、『黄金郷(エルドラド)伝説:スペインとイギリスの探険帝国主義 』、中央公論新社(中公新書)

1492年のコロンブスのいわゆる「新大陸発見」を素直にめでたいと考えている方は、珍しいのではないか(そう思いたい)。この後の「新大陸」の悲劇は、今も続く。新大陸ばかりではなく、ヨーロッパによって発見された諸大陸、諸国は大概ひどい目にあっていて、その癒しはどのぐらい必要なのか。
本書は、ベネズエラを中心にした南米大陸東北部の植民地分割の有様について、探検やそれに伴う地図作製、また、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』、アンリ・シャリエールの『パピヨン』、コナン・ドイル『失われた世界』などの文学(あるいは、エッセー)も含めて、西欧社会の世界支配/分割の様子を描いている。新大陸への探検ロマンは、決してロマンではなく植民地支配に直結していたし、そのことを隠蔽することになった文学は、あるいは、読者の心沸き立たせる探検記は誠に罪深いといわねばならない。

黄金郷(エルドラド)伝説―スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書)

黄金郷(エルドラド)伝説―スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書)