Sig’s Book Diary

関心本の収集

『雨森芳洲:元禄享保の国際人 』

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/15e569cfd2d2fb51c228e3f49512fcf4

上垣外 憲一、2005、『雨森芳洲:元禄享保の国際人 』、講談社 (講談社学術文庫)

江戸元禄享保期の朱子学者木下順庵に学んだ、雨森芳洲新井白石の後輩にあたる)の伝記。対馬藩に仕え、朝鮮通信使の接待や釜山の倭館での外交交渉にあたった。この時代、名文論の朱子学者にしては、柔軟に現実に対応したといえよう。
雨森は、会話のできる中国語と朝鮮語を身につけており、自国の得失を把握しつつも、対等な立場で偏見なく交渉相手を見つめる外交官であったようだ。雨森のいう「誠信の交わり」、つまり、相手国の風俗習慣歴史人情に精通したうえでの相手との信頼関係を築くことは、単なる理想主義ではない。彼以上の外交官がその後日本に存在したのかというのが、おおいに気になるところである。

雨森芳洲 (講談社学術文庫)

雨森芳洲 (講談社学術文庫)