Sig’s Book Diary

関心本の収集

『チーム・バチスタの栄光(上)(下) 』

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/faea395fad9857f5dd4fb2fdd25c1e1d

海堂尊、2007、『チーム・バチスタの栄光(上)(下) 』、[宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

本書は、ミステリーでエンターテインメントなのだが、きわめて告発性の高い内容を含んでいる。それは、同じ著者の以下の書を読めば明らかになる。

海堂尊、2007、『死因不明社会 (ブルーバックス 1578)』、講談社http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/34a81189c469e1ff0a405d2a6418356c

本書では、ほんの数カ所だけ登場するAiということば、CTやMRIなどを用いて、画像処理によって検視を行うという技術「Autopusy imaging」これが、極めて重要なキーである。主要登場人物は、狂言回しである。もちろん、本書に登場する、明確に性格が描き分けられた登場人物たちと、謎解きのプロセスは大変楽しむことができるのだが、しかし、『死亡不明社会』を読まずしては、十分とはいえない。
読者は、両書を平行して読む必要はないが、ほぼ同時期に読むことでさらに、ミステリの醍醐味を知ることができるのではないだろうか。できれば、『死因不明社会』を読んでから、本書に戻る方がよいのではないだろうか。関連する医学的知識もあらかじめ入手することができるのである。

著者は、現役(?)の医者で、ならではのストーリーとなっているのだが、そのうちは、「現役の腕」を捨てて、別の領域で啓蒙書とミステリーという組み合わせの作品を書いてもらいたいものだ。著者のストーリーテラーとしての才は、大変あるし、登場人物の描き分けも巧みである。なおさら、領域をことにしたチャレンジを望みないと思うのだが・・・。つまり、そうなれば、ミステリー作家として、本物であることが証明できる・・・、かな?

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)