Sig’s Book Diary

関心本の収集

『生き物たちの情報戦略:生存をかけた静かなる戦い 』

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/b1c36c485037b7a4f013b73e2ae1e5c0

針山孝彦、2007、『生き物たちの情報戦略:生存をかけた静かなる戦い 』、化学同人

本書は,世界で調査研究を繰り広げる著者の体験を交えながら生物の進化の枠組みを理解するために「情報戦略」というキーワードを用いて明らかにしようとする。そのために、著者は、まず「環世界」という概念を提示する。

「環世界」はユクスキュルが『生物から見た世界』で提出した概念とのことで、「動物やヒトと行った主体(生物)が働きかけて客体(環境)に対する世界を構築する」というもので、「それぞれの別の主体が全く同じ環境に置かれたとしても,それぞれの主体は大きく異なった独自の世界を構築し,その中に生きているのではないかと考えることである」という。「環世界」は、生物種それぞれが感覚器官を用いて認識できる世界であって、生物は、それぞれ感覚器官をへて伝えられる情報を処理して、生物種をとりまく環境を生きていると考えようというのである。

まだまだ、思索の途上とのことであるが、様々な生物が、種として生きている生物世界がえがかれて、著者のフィールド体験とともにとても新鮮に読むことができた。

生き物たちの情報戦略―生存をかけた静かなる戦い (DOJIN選書 11)

生き物たちの情報戦略―生存をかけた静かなる戦い (DOJIN選書 11)