Sig’s Book Diary

関心本の収集

『村田エフェンディ滞土録』

梨木香歩、2007、『村田エフェンディ滞土録』、角川書店 (角川文庫)

帝政トルコ時代のイスタンブールの博物館に留学中に村田エフェンディ(エフェンディとはトルコ語で篤学の士の名とやら)の物語。下宿屋のドイツ人、ギリシャ人の仲間、奴隷のトルコ人、イギリス人の下宿屋の女主人。博物館などでであった人々、女主人の友人、トルコやエジプト、日本の霊魂などとの交流が描かれる。突如の帰還命令で帰国するが、帰るところは親友の綿貫(『家守奇譚』の主人公)の寄宿宅。幽霊の高堂にもであう。『家守奇譚』の派生本でもある本書。
村田の帰還後、第一次大戦がおこり、友人たちの運命が分たれる。綿貫は登場しないが、続編が欲しいような、引きずる作品ではある。

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)