Sig’s Book Diary

関心本の収集

『蒼路の旅人』

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/1a9c1181e76afaa56472e5e6c109d8d8

上橋菜穂子、2005、『蒼路の旅人』、偕成社

チャグム皇子の成長の物語であり、新ヨゴ皇国とそれを取り巻く大状況についての物語となっている。バルサのファンとしては、これは、外伝なのだが。

これまで読み進んだ読者としては、本編は、今ひとつ意図が分からない。成長物語にしたいのか。それとも、主人公たちの住む世界と、チャグムがつい引かれる別世界との関係が明らかにされようとするのか、本編では、明らかではない。単なるエピソードとしてしか、それは登場しない。また、本編では新たなキャラクタが登場するのだが、その大まかな紹介で終わっている。
単独のタイトルを持つものとすべきなのか、あるいは、続編を持つものとすべきなのか、「旅人」というキーワードを含むのがチャグムの物語で、「守り人」というキーワードを含む物語がバルサの物語ということなのだが、どうなのだろうか。
大状況と個人との関係が今ひとつよくわからなくなってくるように見える。最後まで読めば明らかにある、というのは、それは、完結した物語の存在が前提となるのであろう。
はたして、物語は、どのように収束するのだろう。

蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))

蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))