Sig’s Book Diary

関心本の収集

2006年の読書

original: http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/3bd8b3e39012dc8a0baaa150f0315a6b

このブログでは2006年の内に読書について62回書いていいる。年頭にあたり、前年にならって今回も「目からうろこ」と「おすすめ」の二つのカテゴリー、それぞれベストスリーを選ぶことにしよう。なお、書名には、ブログの各ページへのリンクをつけてある。

では、まず「目からうろこ」の三点は、以下をあげる。
『貨幣システムの世界史:「非対称性」をよむ』 (2006-10-05)
『纏足の靴:小さな足の文化史』(2006-02-22)
『眼の誕生:カンブリア紀大進化の謎を解く』 (2006-07-22)

『貨幣システムの世界史:「非対称性」をよむ』 は、非対称性をキーワードに交換を媒介する財としての貨幣に焦点を当てて、世界の貨幣の実態を歴史的に読み解く。ネットでトレードされようとなんであろうと、あらゆる商品は実質的な貨幣の裏づけを必要とするのだが、価値を裏付ける貨幣について改めて考えさせられた。

貨幣システムの世界史―「非対称性」をよむ (世界歴史選書)

貨幣システムの世界史―「非対称性」をよむ (世界歴史選書)

『纏足の靴:小さな足の文化史』は、女性抑圧の象徴ともいえる纏足との見方が浅はかであることに気がつかされる。一面的な決め付けは、モノ自体が持つ文化的なふくらみを抹殺してしまう。あらためて、視点の柔軟さが必要であることに気がつかされた。

纏足の靴―小さな足の文化史

纏足の靴―小さな足の文化史

『眼の誕生:カンブリア紀大進化の謎を解く』は光受容体としての目の誕生と光を利用する方向での進化がカンブリア紀における大進化のドライブとなったとする。カンブリ紀に大進化が起こった事実についての書物は多いのだが、その要因について明快なヒントを与えたものは少ない。その意味で、目からうろこがとれた。

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

つぎに、「おすすめ」の三点は、
『循環と共存の森から:狩猟採集民ムブティ・ピグミーの知恵』(2006-11-24)
『感染症は世界史を動かす』 (2006-03-18)
『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』 (上)(下) (2006-05-07)

『循環と共存の森から:狩猟採集民ムブティ・ピグミーの知恵』は、紛争続くコンゴ共和国東北部の森に住む狩猟採集民のムブティの世界観と生活を通して人類の生活の多様性とそれを知ることの重要性を示してくれる。異文化理解についての並みの教科書よりもよっぽどよい。

循環と共存の森から―狩猟採集民ムブティ・ピグミーの知恵

循環と共存の森から―狩猟採集民ムブティ・ピグミーの知恵

感染症は世界史を動かす』 はウィルスが遺伝情報をRNAを介して伝達することにキーをおいてパンデミック感染症の危機を警告する。人間の歴史は感染症によって作られたという。そして、人口規模においてあるいは人口密集度において空前である現在、多様な変異を前提とするRNAウィルスの危険性を繰り返し警告している。この本は医学者による国際関係論として書かれたとしていて、単に医学的な警告の書としてのみ読まれるべきではなく、文理を超えて読まれるべきである。

感染症は世界史を動かす (ちくま新書)

感染症は世界史を動かす (ちくま新書)

『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』は、グローバルな環境問題について文明史的な観点で描いている。過去の事例はともかく、現代の事例は、いささか、楽観的にすぎると思うが、それでもなお、グローバルに環境問題を捉えることの意義は大きい。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)