Sig’s Book Diary

関心本の収集

自国を案内すること

日経新聞の土曜版(11月25日)に連載の多和田葉子の『溶ける町透ける路』、今日はバルト海三国の続き「タリンの町並み」というエッセイである。この町で彼女は、チェコからやってきた留学生にタリンの町を案内してもらってプラハの町並みとタリンの町並みの建築について説明を受けたと言う。
「こんなに若い人が自分お国や隣国の建築について外国語で詳しく説明できると言うのは東欧では普通なのかもしれないが、やはり驚いてしまう。日本の学生で、日本のお寺の建築様式を中国や韓国のそれと比べながら英語でうまく説明できる人がどれくらいいるだろう」。
大学教育でそのような教養を身につけなければならないとは思わないけれど、少なくとも、個人的にそのような関心を持つような人間が日本でどのくらいいるのかと思うと、自分自身の不明も恥じつつ、同時に、「教育基本法改正」のような上っ面のことに政治が右往左往しているのを思うと、情けなくなった。骨太の教養はどこから生み出されるのだろう。日本のことを知ることと同時に近隣他国(近隣ばかりとは限らないが)のことを知ること、そうした中で、もし必要なら愛国心も生まれてくるのではないか。