Sig’s Book Diary

関心本の収集

『Chronicle of the Guayaki Indians』

Pierre Clastresはともかくも、この本を知ることになったのはPaul Austerの『空腹の技法』のおかげだ。そこにまるでいつもの彼の作品のようなひねりの効いたストーリーが記されていて、しかも、実際にあったことだという(彼の作品の多くは彼の経験を踏まえている)。
その短編は、本書の「まえがき」だった。彼がパリで本書に出会い、心打たれて翻訳を志したのが1970年代後半、英訳を出版しようとしたのが1980年代、しかし、計画はうまくいかず、それどころか原稿もうしなわれてしまった。1990年代になって西海岸の講演とサイン会に臨み、その折に彼のファンの一人から本書の原稿を見つけたと手渡される。
すでに、原作者のPierre Clastresは交通事故死し、本書で描かれたGayaki Indiansは滅亡していた。原稿も一旦は消滅し、そして再びPaul Austerの前に姿を表し、出版にまで至る。そして、最後に私がこの奇妙な出会いに加わる。短編を読み、古書でしか手に入らない本書をAmazon.Comで見つける。そして、オーダーからわずか1週間で手に取り、彼の「まえがき」を英文で読むことができたのだ。

Chronicle of the Guayaki Indians (Zone Books)

Chronicle of the Guayaki Indians (Zone Books)